二項定理っていったい何?係数、Cの意味を塾講師が教えます

アイキャッチ 勉強法

突然ですが二項定理って難しいと思っていたりしませんか?

Cとかが出てきてとても複雑で公式を覚えるしかない・・・

そう思ってはいませんか?

でも、二項定理のCが何を表しているかをしっかりと理解すれば全然難しくないんです!

そこで今回の記事では現役塾講師兼国公立物理学科生の僕が

二項定理で出ているCが何を表しているのかを説明します!

この記事を読んで二項定理をしっかり理解していきましょう!

あなたのミッション

  • 二項定理の係数、Cが何を表しているのかを理解する

二項定理とは

そもそも二項定理について説明していきます。

基本的な出発点は中学校で学習する2乗の展開公式です。

$$(a+b)^2 = a^2 + 2ab +b^2$$

これですね。

これの二乗をn乗へと一般化したものが二項定理ですね。

式にすると

$$(a+b)^n = {}_n \mathrm{C} _0 a^n +{}_n \mathrm{C} _1 a^{n-1} b +…+{}_n \mathrm{C}_n b$$

といった感じになりますね。

式にするとたったこれだけではあるんですが、これが結構分かりにくいんですよね。

  • n乗の展開自体が想像しにくい。
  • 展開をしていたはずなのに急に組み合わせのCが出てきている

この2つが分かりにくいポイントだと思います。

特に2つ目の組み合わせのCが出てくるのは非常に難しいですよね。

僕も高校生の時に初めて二項定理を勉強した時にはすごく難しいと感じました。

意味も分からず公式でCを使って問題を解いていたので、少し難しい問題になると全く手が出ずに困ってしまいました。それから正直二項定理は僕の苦手単元の一つになっていました。

でも、なぜCが出ていているのかを理解すれば二項定理は難しくありません!

それどころか二項定理をさらに発展させた多項定理すらも簡単に理解することができます!

これからそれを説明していきます。

展開の係数

二項定理でなぜCが出てくるのかを理解するためにはまず2乗の展開式を理解しなければなりません。

2乗の展開式で理解しなければならないポイントは係数の2です。

なぜ、係数の2が出てくるのかを確認していきましょう。

2乗の展開式は次のようなものでしたね。

$$(a+b)^2 = a^2 + 2ab +b^2$$

これをもう一段階丁寧に書いてみましょう。

$$(a+b)^2 =a^2+ab+ba+b^2\\ = a^2 + 2ab +b^2$$

この式で\(ab\)の項と\(ba\)の項の二つがあることが分かると思います。

これこそが2乗の展開式で係数で2が出てくる原因だったんです!

つまり、展開式の係数はその文字の並びの場合の数を表していることになります。

これは2乗に限らず、3乗でも4乗でもn乗でも同じです。

二項定理のCの意味

では、二項定理のCの意味とは何でしょう?

そう、これも各項の文字の並びの場合の数を表しているのです。

でもCの定義は組み合わせでしたよね。
なぜ今回組み合わせを使ってもいいのでしょうか?

それをこれから説明していきます。

まず、具体的に3乗の場合を考えていきましょう。

\((a+b)^3\)の展開したあとの項の内\(a^2b\)について見ていきます。

この文字の並びは\(aab,aba,baa\)の3つになります。

なので、係数は3となります。

これを場合の数の考え方を使って求めてみましょう。

この文字の並びは同じものを含む順列になるので、

$$\frac{3!}{1!2!}=3$$

と求めることができます。

これを二項定理の適当な項へと拡張しましょう。

\((a+b)^n\)の展開式の項のうち\(a^lb^m\)について考えていきます。

ここで一つ注意するのは、\(l+m=n\)になっていることです。

では\(a^lb^m\)の係数をさきほどと同様に場合の数の考えかたを用いて求めていきます。

これも同じものを含む順列になっているので、その係数は

$$\frac{n!}{l!m!}$$

となります。このままではCが出てくる理由が見えてきませんね。

なので、この式を少し変形していきます。

$$\frac{n!}{l!m!}=\frac{n!}{l!(n-l)!}$$

と変形してみました。この式の形って

$${}_n \mathrm{C} _l=\frac{n!}{l!(n-l)!}$$

という組み合わせの定義の式と同じ形になっていますよね。

なので、\(a^lb^m\)の係数は\({}_n \mathrm{C} _l\)となり、組み合わせのCが出てくるのです。

つまり、二項定理のCは2乗の展開式の時と同じように、文字の並びの場合の数を表しているのです!

僕は生徒には二項定理の係数は\(\frac{n!}{l!m!}\)で求めるように指示しています。

その方が計算も楽だし、多項定理との繋がりが明確になるからです。

多項定理の係数

多項定理の係数は階乗が出てきていますよね。

今までは意味も分からず覚えていたかもしれませんが、もうその必要はありませんよね?

多項定理になっても係数が表しているものは変わりません。

文字の並びの場合の数です!

多項定理の式は\((a+b+c)^n\)となっています。

例えば、これの展開式の内\(a^pb^q c^r\)の係数を考えるとします。

これの係数は今までと同じように、同じものを含む順列なので、

$$\frac{n!}{p!q!r!}$$

と求めることができます。

二項定理の係数の

$$\frac{n!}{l!m!}$$

と比べると文字を一つ増やしただけなのがよくわかりますよね。

係数の意味が分かれば何も恐れる必要がないことがよくわかると思います。

最後に

二項定理の係数のCは文字の並びの場合の数です。

これさえ覚えておけばもう意味も分からずCを使う必要はありません。

Cを使うということすら忘れても問題はありません。

多項定理ですら敵ではありません。

係数が表しているのは文字の並びだと知っているのですから。

二項定理の問題をガンガン解いて、合格を近づけていきましょう!

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