でも、工学部と理学部って一体何が違うの?
理工学部ってあるぐらいだし、一緒じゃないの?
どっちを選べばいいのかわからない!
あなたもこんなことを考えたことがあるんじゃないですか?
理学部と工学部の違いってよく分からないですよね。
大学によっては理工学部って名前になっているぐらいですし。
実は理学部と工学部は同じことを勉強しているようで結構違うんです!
現役理学部物理学科の僕が、
- 理学部と工学部は一体何が違うのか?
- どちらを選ぶべきなのか?
この2つについてこの記事では解説していきます!
主な記事のポイントは次の通りです!
- 勉強している科目は実はあんまり変わらない
- 大きな違いは視点と目的の2つだけ!
- 理学部も工学部もどちらも大事なので、合ってそうな方を選べばいい!
理学部と工学部
大学には基本的に理学部と工学部の2つがあります。
大学によっては理工学部で一つの学部になっている大学もあるかもしれません。
理学部も工学部も理系の象徴のような学部ですよね。
「ザ・理系」って感じの学部と言ってもいいでしょう。
どちらもやることとしては、基本的には科学を勉強して、研究していくんですよね。
なのにわざわざ2つに分けている必要はあるんでしょうか?
全部理工学部でまとめちゃってもよさそうですよね。
勉強する科目は実はほとんど一緒
名前が違うので、勉強する科目が違いそうな感じがしますが、
物理学科と工学部では勉強する科目は実はほとんど一緒です。
僕が専門の物理を例に見てみましょう。
理学部であっても、工学部であっても
- 力学
- 電磁気学
- 量子力学
- 統計力学
- 流体力学
などを勉強しています。
なので、このあたりの話題を工学部の友達にしても、
確実に通じます。
使う教科書も大体同じような本を使います。
工学部専用の教科書や理学部専用の教科書のようなものはありません。
授業の進め方もほとんど一緒です。
- 授業に出て先生の話を聞く
- 演習問題を解いて、勉強したことを使えるようになる
- レポート、テストで成績がつけられる
これもほぼほぼ同じです。
同じようなことを勉強しているなら、
分けなくてもいいんじゃないかと思いますよね。
でも、同じになっていると困るんです。
実は理学部と工学部では決定的な違いがあるんです。
物理学科と工学部の違い
だけど、勉強、研究の目的、視点が理学部と工学部は全然違うんだよ!
では、物理学科と工学部の違いとは一体なんでしょうか?
主な違いは以下の2点です。
- 研究成果で社会を豊かにすることが目的かどうか
- 目の前の現象1つのみを考えているかどうか
これが大きな違いです。これを意識しているのが工学部、そうでないのが理学部です。
この2つは目的と視点と言い換えてもいいでしょう。
もちろんすべての工学部や理学部に当てはまるわけではありません。
ですが、ほとんどの場合には当てはまります。
それぞれについて詳しく見ていこうと思います。
研究成果で社会を豊かにすることが目的かどうか
- 研究成果で社会を豊かにすることが最初から目的になっているのが工学部
- 社会の役に立てればラッキーぐらいに考えているのが理学部
これは研究の内容に大きく現れています。
工学部の研究では社会が大きく変わるのに直結することが多いです。
例えば、工学部の研究としてロボットの開発や人工知能などがありますよね。
人工知能なんてまさに社会を変えようとしています。
これらの研究は、最初から社会への利用、応用を目的として始まっています。
完成すれば社会が大きく変わり、生活が豊かになりますからね。
ですが、物理学科の研究が今すぐに社会を変えることはあまりありません。
例えば、2017年のノーベル物理学賞は「重力波の検出」についてのものでした。
これは物理を勉強している人たちにとっては、めちゃくちゃ大きいニュースなんですよね。
雷が体に落ちたぐらいの衝撃です。
物理好きの人たちが大いに沸いたニュースでもありました。
僕も非常に興奮して、宇宙に思いを馳せた記憶があります。
でも、社会はあまり変化しませんでしたよね。
生活が便利になることもありませんでした。
ニュースになったのは最初の数日ぐらいで、あとはほとんど報道されませんでした。
芸能人のスキャンダルの方がよっぽど長く報道されています。
普通に生活している人にとっては
これぐらいの認識です。
こうなってしまうのはある意味当たり前です。
なぜなら、多くの理学部の興味は社会を豊かにすることが直接的な目的ではないからです。
こんな風に考えている人がほとんどです。
なぜなら、基本的には自分の好奇心に従って研究を進めているからです。
- これが知りたい!
- なんでこうなっているんだろう!
- 今までの考え方で説明できないからおかしい!
こんな考えに従っているので、直接的に社会を豊かにすることは少ないのです。
もちろん研究途中に社会を豊かにすることはあります。
でも、最初からそれが目的だった例は少ないのです。
これが一つ目の違いです。
目の前の現象一つのみを考えているかどうか
- 目の前の現象1つのみを考えているのが工学部
- 色々な現象を考えているのが理学部
目の前の現象1つのみと言っても本当に1つだけを考えているわけではありません。
でも、基本的にある現象があり、それを理解し、再現し、役立てようとするのが工学部の考え方です。
理学部はそうではありません。
1つの現象のみを考えているのではなく、色々な現象を考えているのです。
色々な現象を考えそれらに共通する法則、原理を見つけようとするのが理学部の考え方です。
つまり、現象に潜む法則を探しているのです。
なので、1つのことだけを考えているのではありません。
1つの現象だけを考えていても、他の現象でも通用する原理は見つかりませんから。
つまり、現象を見る視点が大きく異なるのです。
これが2つ目の違いです。
どちらが優れているというわけではない
物理学科と工学部の違いを説明してきました。
ここで、勘違いしてもらわないでほしいのが、
どちらが優れているというわけではないということです。
どちらも大学、社会にとっては重要です。
工学部は社会を豊かにするでしょう。
そのためには理学部が発見した法則が多く使われています。
理学部が発見した法則も社会を豊かにするために、有効に使えるようにしていく必要があります。
なので、どちらが優れているとか偉いとかそんなことはないのです。
進路を選ぶ際にはどちらの方が自分に向いているのかを考えて選ぶのがいいでしょう。
- 社会を豊かにしたい、新しいものを作りたいのであれば工学部
- 好奇心を満たしたい、世の中の原理が知りたいなら理学部
自分はどちら側の人間なのかを考えて選んでみてください。
僕は自分の興味が赴くままに勉強して、自然法則について理解したかったので、理学部物理学科に進学しました。
工学部も楽しかったとは思いますが、理学部に進学してもよかったと思います。
大事なのは自分の好みはどっちなのか
これで進学先を選ぶことですよ!
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